ドクターチェックに関するモデルルールと運用について
公文:モデルルールと運用の提案について [日審機18発第1号 2018年8月30日]より
1.ドクターチェックに関するモデルルールと運用
(1)モデルルール
(①レフェリーの権限に関する規定)
試合中に選手が負傷した場合、レフェリーは、ドクターに負傷の程度を聞き、その意見を参考に試合続行の可否を決定することができる。
(②ドクターチェックの手順に関する規定)
ドクターチェックは、ラウンド間のインターバル時間中には行わない。インターバルの前後にドクターチェックを行う場合は、ラウンド終了直後(インターバル前)、または、インターバル終了後に、ニュートラルコーナーにおいて行うこととする。ただし、緊急を要する場合はこの限りではない。
(2)運 用
試合中に選手が裂傷などを負った場合、レフェリーは試合を中断し、リングドクターによるドクターチェックを要請することがあります。ドクターチェックの間は、試合時間を止め、負傷した選手は一方のニュートラルコーナーで診察を受け、他方の選手はもう一方のニュートラルコーナーで待機します。
ドクターのチェックを受ける間も不公平があってはいけません。例えば、ラウンド間のインターバル中にドクターチェックを行うと、負傷した選手がセコンドの指示・アドバイスを聞くことができない、あるいは、水分補給が十分にできないなど、インターバルの時間が公平に与えられたとはいえなくなります。
したがって、ラウンド間のインターバル中は、ドクターチェックを行わず、その前後の時間に行うことが望ましいと考えられます。
インターバルの前後に行うドクターチェックには、次のような3種類の手順が考えられます。
A:ラウンドが終了した直後に時間を止め、両選手を自陣コーナーに戻らせず、ニュートラルコーナーに移動させ、ドクターチェックを行う方法。
B(新案):インターバル終了時に時間をとめ、次のラウンドに入る前に両選手をニュートラルコーナーに移動させ、ドクターチェックを行う方法。
C:インターバル終了後、いったん次のラウンドを開始し、直後に時間を止め、ドクターチェックを行う方法。(従来、最も多く用いられてきた方法)
本来「A」の手順が望ましいのですが、レフェリーと演出・本部席間の連携が難しく、ラウンド終了と同時にインターバルに入ってしまうため、これまで、この手順で行われることは多くありませんでした。そのため、従来は、「C」の手順が最も多く用いられてきました。しかし、この方法は、ドクターチェックの開始が遅れるうえ、また、いったん次のラウンドを開始した直後に試合を中断するため、選手・観客の緊張感が途切れ、さらにケージにおける試合の場合、扉を何度も開閉するため、競技の円滑な進行にも適しません(そのうえ、ドクターチェックの直後に試合続行不可能と判断された場合、試合開始から中断までのたった2秒の攻防について判定を行うという余計なプロセスも生じる可能性があります)。
そこで今回、より安全・公平かつ円滑にドクターチェックが行えるよう、インターバル終了後、次ラウンド開始前にドクターチェックを行う新たな手順(「B」)を考案し、各プロモーション審判部に実施を提案いたします。
モデルルールでは、A~Cのいずれの手順でもドクターチェックが行える規定になっていますが、安全、公平、円滑な競技進行の観点から、「A」または「B」の手順でドクターチェックを実施されるよう推奨いたします。