反則等への処置に関するモデルルールと運用について

モデルルールと運用の提案について [日審機18発第1号 2018年8月30日]より

2.反則等への処置に関するモデルルールと運用

(1)モデルルール


(反則に対する処置に関する規定)
第〇条 レフェリーは、選手が犯した反則行為に対し、その内容に応じて次の各号に掲げるいずれかの処置をとることができる。
  (1) 注意(caution)
  (2) 警告(verbal warning)
  (3) 減点(points deduction)
  (4) 失格(disqualification)

2 メインレフェリーは、前項第2号(警告)および同第3号(減点)の場合には試合を停止して、反則を犯した選手とその処置を適切な合図や身振り、およびペナルティ・カードで明瞭に示さなければならない。

3 メインレフェリーは、所持している2種類のペナルティ・カードにより、次の各号に掲 げるとおり減点を明示する。
(1) 黄色(イエローカード):1点減点
(2) 赤色(レッドカード):2点減点


 

(2)運 用
従来、多くのプロモーションのルールでは、反則に対して次のような処置が定められていました。
①口頭注意、②注意(イエローカード)、③警告(レッドカード)、④失格
これらの処置は、いずれもいったん試合を停止して実施されてきました。また、実際には、①口頭注意は、②注意(すなわち「減点1」)の予告を意味していました。

しかし、このような画一的で限定的な方法では、競技上の公平を失する場合も起こりえます。例えば、「広げた指を相手の顔や目に向ける行為」という反則は、指が目に入る事態を未然に防ぐために定められた規定であり、反則によって実際にダメージが生じるわけではありません。しかし、相手の目に指を向けた選手に対して、従来どおり試合を停止して、「口頭注意」を与えた場合、次に同様の行為を行った場合には相手にダメージを負わせていないにもかかわらず、「減点1」が課せられることとなり、ペナルティが過重で、公平性を欠くことにもなります(10ポイントシステムの試合においては、「減点1」は1つのラウンドを失うことに等しく、非常に重いペナルティです)。

また、反則によっては、その都度試合を停止するよりは、試合を継続させつつ注意を与えた方が、反則の防止と円滑な試合の実施に有効な場合があります。

さらに、サブレフェリーが試合を中断させることなく注意を与えることができるのに、メインレフェリーが同様の形で注意を与えられないという矛盾もありました。

これらの理由から、従来、試合を停止して行ってきた「口頭注意」(=減点の予告)を「警告」と位置づけなおし、試合の状況に応じて、試合を停止してもしなくてもよい処置として、新しい「注意」を設けた規定を上掲のとおり提案いたします。このような規定と運用によって、より安全・公平で、より円滑な競技進行、および具体的な状況に応じたレフェリングが可能になると考えます。