コーナーによるタオル投入は反則?

日本ボクシングコミッション(JBC)は、昨年6月のルール改正により、セコンドによるタオル投入を廃止しました。改正されたJBCルール第118条第1項4号では「ラウンド途中においてボクサーを棄権させる場合は、チーフセコンドがリングエプロンでウェイビング〔タオルをレフェリーに向けてグルグルと回す動作〕をおこなうことによりその意思を表示する」となっています。

改正の理由として、①世界的にタオル投入のルールが廃止される傾向にあり、ウェイビングによる意思表示が一般的になっていること、②投げたタオルがロープなどに引っかかってリングに入らない場合、レフェリーが気付くのが遅れる可能性があること、③観客が何らかの理由でタオルを投げ入れた場合、大きな混乱を招くこと、などがあげられています。

JBCは、セコンドによるタオル投入をすぐに禁止するということではなく、「棄権の意思がレフェリーにしっかり伝わることが大事」とコメントしています。

「コーナーによるタオル投入」は「コーナーストップ」の一つの手段であり、ボクシングにおけるルール改正はコーナーストップの方法が変わるということであって、コーナーストップ自体を禁止するものではありません。

さて、MMAにおいては、かつてユニファイドルールで「コーナーによるタオル投入」が禁止されていたため、今でも、反則だと思い続けている関係者も多くいるようですが、数年前からアメリカにおいても(ネヴァダ州などの一部の州を除いて)タオルの投入は認められています。

ちなみに、ユニファイドルールの最新版にはつぎのように記載されています。

(仮訳)
反則からの削除:試合中にタオルを投げること
コミッションの裁量のもと、選手のコーナーには、競技中に可能な限り迅速かつ最も効果的な方法で選手を競技から退かせるための選択肢(オプション)が必要である。 選手と共に闘うコーナー・パーソンは、過去の経験から、選手の能力いかほどであるのかを認識し受け入れることができる。選手を闘いから退かせることをコーナーに認めることは、安全の観点から意味がある。
リングやケージにタオル状の物が入ることが試合の混乱あるいは錯乱の一因となる可能性を憂慮するのであれば、指定の色または特別なタオルを使用することを検討すること。
(原文)
REMOVED AS A FOUL- Throwing in the towel during competition
A fighter’s corner, at the Commission’s discretion, should have the option to retire his fighter in the quickest and most efficient manner possible, during competition. A corner person having worked alongside a fighter may recognize and accept what their fighter’s capabilities are from past experience. It makes sense from a safety perspective to allow a corner to retire the fighter.
If there is consideration that debris in the form of a towel entering the ring or cage may contribute to a disruption or confusion in the contest, then colored towels or special towels might be a consideration to be used.

ボクシングでタオルの投入がなくなっているために混乱が生じているのかも知れませんが、本来的に危険なMMAにおいて「コーナーストップ」の効果的手段をルール上奪うことは賢明ではありません(「馬鹿げている」と言ってもいいかもしれません)。
なお、国内MMAにおけるセコンドによるコーナーストップの意思表示は、筒形バトン(RIZIN等)や指定の色のタオル(パンクラス等)を投入することによって行います。

今後、JMOCコミュニティで、ユニファイドルール最新版のルールを少しずつですが解説していく予定です。

▼JMOCコミュニティ
https://community.camp-fire.jp/projects/view/248514