ユニファイド・ルール「グラウンド状態の選手」の定義を再検討
ABC(The Association of Boxing Commissions and Combative Sports)ルール・規則委員会は、州によって定義が異なる「グラウンド状態の選手」のルールを再検討し、今年7月のABC年次総会の議題にすることを決めました。
2016年に「グラウンド状態の選手」の定義を改める新ルールが採択され、2017年1月から施行される予定でしたが、すべての州・管轄区域で施行されたわけではありません。
新しいルールでは、両方の掌か拳をマットに着くか、あるいは膝、尻などの部分をマットに着かなければグラウンド状態にはなりません。この新しいルールを採用している州は、カリフォルニア、ニューヨーク、フロリダなど30州です。
しかし、ネバダ、ニュージャージー、テキサスなどの残りの州は、足の裏以外(指先1本でも)がマットに接地している選手をグラウンド状態とする旧ルールを採用しています。
ネバダ州で行われたUFC 235におけるUFCライトヘビー級王座戦では、チャンピオンのジョン・ジョーンズは、膝を着いた挑戦者アンソニー・スミスの頭部に膝蹴りを打ち、減点2のペナルティを受けましたが、あわや失格となるところでした。しかし、この膝蹴りは、カリフォルニアやニューヨーク州では反則ではありません。
UFCも試合が開催される州のコミッションのルールに拘束されます。そのため、UFCの試合は、ほぼ毎週、異なるルールの下で行われます。他のスポーツではほとんど考えられないほどの厄介な問題です。
ABCは、州によってルールが異なることにより選手や審判が混乱していると認識しています。そこで「グラウンド状態の選手」に関する文言などを改め、ルールをより明確にし、統一して運用できるようにするための検討をしています。ただ、旧ルールに戻ることは予定されていません。
今度のABC年次総会で議論はされますが、それでもやはり、各州において個別にルールが採用されるので、統一される保証はありません。
(日本におけるMMAルールはさらにバラバラ(多様)ですが。)