ABCによるMMAユニファイドルールの施行状況調査:ユニファイド(統一)からはほど遠く

ABC(Association of Boxing Commissions and Combative Sports)の調査によると、北米において少なくとも10種類のMMAのルールセットが使われています。

2016年、大きなルール改正がABC総会で承認され、2017年1月から施行される予定でしたが、すべての管轄区域で施行されたわけではありません。新ルールをフルパッケージで採用する州コミッションが多くありましたが、いくつかのコミッションは、「グラウンドポジションの新しい定義に関する懸念」を主な理由として新ルールを採用しない選択をしました。他にもネバダ州のようなコミッションは、新しいルールを一部採用しながら、他の部分を拒否しています。昨年もインスタントリプレイに関する勧告がありました、州によって対応は異なります。
ABCの調査によると、現在、完全な新しいユニファイドルールを採用しているか(リプレイを除く)、採用に向けて取り組んでいるコミッションが30にのぼります。残りは、旧ルール、または新旧の組み合わせたルールを使用しています。

大きな論点はグラウンドポジションの定義です。これによってABCの派閥が分裂しているように見えます。旧定義では、足の裏以外がマットに接地している選手はグラウンド状態になり、片手の指先でもマットに着いていればその選手の頭部・顔面を蹴るか膝蹴りすると反則になりますが、新定義では、両方の拳や両手のひら(あるいは手・足以外の部分)をマットに着かなければグラウンドにはなりません。新定義は、2016年の会議で圧倒的多数で採択された新ルール・パッケージの一部でした(そのパッケージでは、腎臓への踵による蹴りが反則から排除されています)。

ABC医事委員会は、2016年に新しいルールをフルパッケージで可決し、当時リングドクター協会(ARP)の会長だったラリー・ラブレス氏が承認を与えましたが(gave his approval)、機関としてのARPは新ルールを認可(endorse)していません。

ABCのマイク・マズーリ会長は、現状が選手たちにとってアンフェアな状態であり、ルールがバラバラであることを望ましくないと考えています(実は、レフェリーも毎週、ときには週末に2回、異なるルールセットの下でレフェリングをしなければならないことがあります)。彼は、ユニファイドルールを再統一すべく何らかの妥協点を見出すための協議があったと語ります。しかし、ユニファイドルールは、これまで真にユニファイド(統一)されたことは一度もありません。ABCはただ握手合意(handshake agreement)をする機関であって、立法権(ルール制定権)をもちません。

ABCの調査によると、グラウンドポジションの新定義を含む、新しいユニファイドルールを使用している(または、採用する予定の)コミッションは次のとおりです。

アラバマ、アリゾナ、ブラジル(CABMMA)、カルガリー、カリフォルニア、チカソーネーション、コネチカット、フロリダ、ジョージア、グランドプレーリー、ハワイ、アイダホ、インディアナ、アイオワ、カンザス、マサチューセッツ、ミネソタ、モヒガンサン、ネブラスカ、ニューハンプシャー、ニューヨーク、ノースダコタ、オレゴン、ロードアイランド、セントクロア、サウスダコタ、テネシー、ユタ、ウィスコンシン、ワイオミング

アイダホとテネシーは、完全な新ユニファイドルールに向けて取り組んでいます。グランドプレーリー、ミネソタ、インディアナ、オレゴン、ロードアイランド、サウスダコタ、ウィスコンシンは、新ユニファイドを使用していますが、2018年のABC推奨事項の1つであるインスタントリプレイを採用していません。

グラウンド状態の旧定義を使用しているコミッションは次のとおりです。

ケンタッキー、ルイジアナ、メリーランド、ミシガン、ニュージャージー、オンタリオ、オクラホマ、テキサス、ミズーリ、ミレラックバンド、ネバダ、バージニア、ペンシルバニア、ワシントン

ケンタッキー、ルイジアナ、メリーランド、ミシガンでは新ユニファイドは採用されていませんが、テキサスとオクラホマではグラウンド状態の定義を除いては新しいルールを採用しています。他の州・地域は、新旧が混在しています。

参考:ABC survey: At least 10 different MMA rulesets being used in North America