「ドロー」の基準?
――昔の判定で困ったことってありますか?
X:昔(2010年)DEEPであった試合なんですけど、当時は「トータル(全体)評価」で「ドローあり」だったんですよね。もう、さじ加減をどうするかで悩まされるんですよ。
――どういうことですか?
X:A選手とB選手の試合だったんですが、大差はなかったんですね。ただ、どちらかマストでつけるとすればA選手だったんです。序盤における微差で。で、こういった試合だと、当時、パンクラスでなら「30-29」になるかもしれないけど、DEEP的にはドローかなぁ、とか考えたんですよ。どちらかといえばA選手ですけれど・・・。だから、個人的には「1-0」のドローだったらいいなぁ、と思っていたんですね。で、その「1」を誰がつけるか(笑)。
――そんなこと考えるんですか?(笑)
X:その試合のジャッジは、YさんとZさんと私(X)の3人だったんです。Yさんもたぶん私と同じ考えだろうと。Zさんはあまり厳密に見ないだろうからドローだろうと。そう見込んで、もし、Yさんと私がA選手につけたら「2-0」でA選手の勝ちになるので・・・。DEEP的にはどうなのかなぁ、どうしよっかなぁ、と少し考えて、結局、Yさんをあてにして、私はドローにしたんですね。で、判定結果が発表されたんですが、Yさんもドローにしていたんです。でですね、ZさんがB選手につけちゃってたんですよ! 一瞬「えっ?」ですよ。まじか?・・・。A選手に悪いことしちゃったなぁ・・・、って。「0-1」の結果が出た瞬間、Yさんと目が合っちゃって、二人とも苦笑いです。
――お互いに「お見合い」しちゃったと。
X:はい。試合後すぐYさんがこっちに来て「いまのはAでしたよね」って。「Xさんがつけてくれると思ってました」って言われました。
――当時のルールだと、それぞれのジャッジがどっちの勝ちにしたかドローにしたかっていう結果が示されるだけで、判定の理由とか根拠は周囲にはわからないですよね。
X:そうですね。もちろんルールに則って優劣を評価するんですけど。プロモーションごとにルールや価値観が違いましたしね・・・。
そもそも「10-10」もそうなんですけど、「ドロー」の明確な基準なんてないんですよ。そういうところはちょっと面倒くさかったです。そんなこともあって、私自身、できるだけイーブンやドローにしない姿勢に傾いていったような気がします。あと、他のジャッジのことは気にしない(笑)。
――今から思うと昔は「10-10」や「ドロー」が多かったですよね。
X:だから、そのころ、接戦で白黒つけた判定をしたら「僅差で勝敗をつけなくてもいいじゃん!」って逆に言われたり、ときに提訴されてりして、それはそれでまた面倒くさかったですけどね。僅差の試合をドローにしておけば文句は言われないんですけど(苦笑)。