UFC232:Megan Anderson対Cat Zinganoにおける事例(ハイキックのつま先が相手選手の目に入った場合)

昨年12月29日のUFC232における、Megan Anderson対Cat Zinganoの試合は、1ラウンド、Andersonが放ったハイキックのつま先がZinganoの目に入り、Zinganoが競技続行不能となりました。レフェリーMarc Goddardは、Andersonのハイキックを正当な打撃と認め、 AndersonのTKO勝ちとなりました。

MMAユニファイドルールでは、指、あご、肘で目を突く・掘る行為が反則とされています(つま先による行為は明示されていません)。
しかし、敗れたZingano側は、ルールで示されている使用部位(指・あご・肘)は例示にすぎず、網羅的ではないと主張し、ルールを幅広く解釈すればつま先による攻撃も反則であり、したがって、試合はノーコンテストに変更されるべきであると提訴しました(現在審議中)。

Goddardレフェリーの解釈は妥当であると考えられます。目に当たる打撃(パンチ等)は反則ではありません。ハイキックのつま先が目に当たったとしても、ハイキックが後頭部に当たった場合と同じように、攻撃を受けた側の責任と考えることができます。また、攻撃した側が故意に目を狙うことも想定しにくいです。

ただし、故意につま先で目を蹴った場合、例えば、サッカーボールキック(DEEP(3R制)とRIZINでは認められています)において、足の甲ではなく、トーキックで目を蹴った場合は、反則と見なされる可能性があります。
MMAは元来、目にダメージを与えることを競技の目的とはしていませんし、そのような技術を競う競技でもありません。また、目のダメージは選手の人生の可能性を大きく損なう恐れがあります。
目に当たる打撃は一般的には反則ではありませんが、とがった部位(指・あご・肘・つま先等)による目への攻撃については、具体的な状況に応じて適切に判断していきたいと思います。

(写真:Andersonのつま先がZinganoの目に当たったシーン)

参照サイト:MMAJUNKIE