カット(裂創)

MMA競技において、最も多い負傷は、カット(裂創)です。2009年から2011年に行われた調査によると、発生した負傷の約4割(38.6%)がカットでした(※)。

カットがあった場合、それが正当な打撃によるものか、あるいは反則によるものかをレフェリーは速やかに判断しなければいけません。それによって、対処の方法が大きく変わります。カットによって試合続行が不可能になった場合、正当な攻撃によるものであればTKOになりますが、故意の反則によるものであれば失格になりますし、偶発的な反則やアクシデントの場合はテクニカル判定、あるいはノーコンテストになります。

試合を続行するか中止するかは、最終的にはレフェリーの判断によりますが、医師の所見も参考にしてください(なお、医師は傷を視診し、圧迫による簡単な止血を行いますが、治療を行うことはできません)。

裂傷が深い場合で、傷が骨膜までに達している場合は、試合を続行すべきではありません(骨膜は感染に弱く、骨膜炎・骨髄炎を発症するリスクが高いです)。

同一ラウンド中に同じ箇所の裂傷により2回以上中断をせざるを得ない場合は、試合の終了を積極的に検討してください(中断が頻繁に起こる事態は試合が円滑に行われているとはいえません)。

※参考文献:松宮智生(2013)総合格闘技における負傷の実態と傾向.体育スポーツ科学研究13:7-14.